プロジェクトについて

方針

教育方針イメージ

 本プロジェクト研究は学部段階への海外留学において、大学や予備教育機関が、海外で取得された後期中等教育修了資格をどのように認定し、学部留学への志望学生を選抜し受け入れ、補習教育を行っているのか、また、海外の中等教育段階の学習状況について、海外調査を基に明らかにし、高大の国際的接続を促進させることを目的としている。 そこで調査対象には、受入側としては大学、予備教育機関、送出側としては、海外への送り出し高校あるいは中等後教育機関を設定した。3か年の研究機関において現地調査を通して高校、大学側それぞれの教育状況を明らかにし、収集資料を分析、整理することで、個々の学生や国別の修了資格から学習状況が把握できる基本枠組みの作成を目指している。

 わが国の高等教育において9月入学をはじめとした様々な側面からの大学の国際化の促進に際し、海外からの優秀な学生の選抜、受け入れの需要は増大している。これまで多くの国公立大学では、帰国子女入試や学部段階への外国人留学生入試は、大きな比重を占めるものではなく、明確な選考判断内容や基準が確立されないまま継続されてきたといえる。しかし昨今では、スーパーグローバル大学構想以前のG30に代表される特定学部の英語コースのみならず、海外での日本語教育の充実、国際教育交流の深化に伴い、多くの大学でも様々な国・地域から、多様な教育を受けた中等教育修了者を受け入れることになりつつある。私立の国際化を標榜した有名大学をはじめとして、私立大学には日本語別科や独自の交流ルートによる国際化戦略を持つものも多いが、現実問題として、そうした大学合格基準即ち高校での学業成果への評価や資格認定基準が明示されることは少ない。また、日本の大学受験において、アビトゥア資格やインターナショナル・バカロレア(IB)は大学入学資格として認定されているものの、詳細な科目については大学や学部の判断に任され、海外の中等教育修了資格についての評価は十分な検討はなされていないのが現状である。

 また、中国研究では入学者選抜方法などの教育制度研究や、国際化や中等教育と高等教育の接続のための教科を単位とした教育課程毎の接続を論じているものがある。これらの研究成果は本研究の基盤になるものであるが、これまでの大学側、接続担当者に任されてきた各教科の教育内容・単元に踏み込むことは容易ではなく、大学側高校側などの個別対応とされるため調査研究としてアプローチすることは困難であったと考えられる。教育学の分野からやや離れた専門課程の教育あるいは教科教育側において、高等教育や教育研究機関及び教育研究者から海外の中等教育の状況を把握することによってその接続を促進しようとした研究もある。一般の教育課程の国別調査、教科書制度の国別比較研究は広範な国際調査報告書を出しているが、これらは主として先進国及び中国の状況報告であり、これを基礎データとすることはできよう。しかし、一般の公立学校での学習範囲はある程度把握できるものの、国際的接続の視点からは、海外留学を目指す学校は主としてエリート校であり、外国語学校等特殊な教育課程を持つ学校が多い。例えば、国際学校では香港やアメリカの教科書をそのまま用いている学校もあり、教科書以外の補助教材を用いて、資格取得や大学入学資格試験準備を進めている。
 海外への学部段階での留学を目的とするエリート国際学校は、各国の教育制度外の特殊領域に位置するため、本研究ではこれらの調査対象の学校は個別訪問調査が必要とされる。特に、アメリカのAP(アドバンスト・プレイスメント)プログラムによる留学促進策や、国際バカロレア、英国のAレベルといった国際共有資格の取得を目指す海外の中等学校、留学派遣を前提とする外国語学校、大学入学資格の予備教育機関等が中国、マレーシア、オーストラリアには多数存在する。これらの教育機関の教育実態を調べることも本研究の重要な課題である。

 中等教育段階の教育課程に関する先行研究の単元表を指針として、これを数学、物理、化学、生物、地学などの理数科目、社会、英語、日本語、クリティカル・シンキングなど他の教育内容へと視野を広げることとしている。但しその際、現実的な問題として、個別の単元内のイデオロギーや徳目や或いは教育方法の相違まで踏み込むものではなく、本研究では、全教科のバランス、学習した項目(単元)を重視した包括的な整合表(基本枠組)を作成し、中等教育修了生の学力、そして各大学受け入れる際の評価・補修・入学へという接続過程をよりスムーズにするための方策を検討・開発することに主眼を置いている。

 海外資格評価の先進国であるアメリカではNAFSA(全米国際教育交流協議会)やAACRAO(米国大学アドミッション・オフィサー協会)などが留学元である途上国の教育資格について調査し、留学資格認定、資格証書の発行を行っている。この他、NARIC(National Academic Recognition Information Centres)、AICE(国際資格評価協会)、CEC(全米外国成績資格評価審議会)等多数の機関が海外資格の同等性に関する評価活動を行っているが、資格認証へのアクセルには高いハードルがある。また、アメリカの教養教育型大学への受入と異なる、日本の大学の専門教育への接続が前提となる受入側のニーズに十分適うものとはなっていない。


ターゲット:調査国・調査対象学校と調査項目

目標イメージ

 本研究では現在研究蓄積がある中国、申請者の研究フィールドであるマレーシアを主な対象として、同じく研究蓄積のあるオーストラリアと日本の大学の実態に即した事例を留学のフローの中で、接点に位置する高校(後期中等教育:派遣・国際学校)、中等後教育機関(資格付与・派遣準備教育)そして大学(予備・補習教育機関)の3つの段階で学力認定に基づく、高大接続調整のための教育の実態を明らかにし、それぞれのニーズや問題点を析出したうえで、国際的接続を促進する方策を開発することを目指している。

①学部専門別の海外学生の教科目別の評価状況と方法、受け入れ基準等の実態を把握する。

②中国、マレーシアについては、高校や私立学院や予備教育機関への調査収集データを元に、中等教育の関連教科の単元別一覧を比較検討する。

③現地で得られた学習単元の類似と相違箇所を整理すると共に、それぞれの単元別の評価方法について、各学校や国家資格における絶対評価・相対評価、採点方式の情報を収集し、更なる海外教育課程調査のたたき台として包括的な基本枠組の第一次原版を作成する。

 本枠組は、学習した教育内容が視覚的に確認できる一覧表とし、詳細なデータについては、カスケード方式に、単元、評価方法が細分化して確認できるよう作成を目指す。 本プロジェクトは、現地でしか得られない教育課程の情報を収集し、これまで十分に確立されてこなかった、高大の国際的接続部分にあたる教育機関での教育内容、学習単元、評価方法の整理を行い、国際的接続をより促進するもので、そこで作成される学習評価の教育課程基本枠組が、我が国ならびに海外の高校、中等後教育機関、大学での準備、選抜、補習など様々な次元で活用されることを目指している。本研究は、その第1ステップとなるもので、その基礎作業を踏まえ、国内、海外の更なる調査を進めることで精緻化し、国内の中等教育や高等教育の国際化や国際教育交流を更に促進することが出来ると考えている。このため、本研究では、送り出し国の後期中等教育シラバス、テキストをはじめ、主要な送り出し校である国際中等学校での教科内容・単元別の修得状況や学力判断基準を収集する。 受け入れ国では、海外の国際教育機関および諸大学の本部・学部のアドミッションオフィスにおいて中等教育での教育内容や各教科の学力を如何に認定しているのか、どのような点に問題があるのか、インタビューを行い、学習内容把握のための教育課程の確認手段、学力評定のための試験方法と資料を収集する。


研究会・調査プロジェクトスケジュール

日時 備考・内容 場所
 平成27年度調査スケジュール
 5月:モンゴル調査(竹熊)・名古屋シンポジウム(派遣)
 6月:HP検討
 7月:プロジェクト研究会 調査進捗・準備
 8月:マレーシア調査(10日間)
 9月:プロジェクト研究会 成果報告まとめ
 12月:最終成果報告書論文提出
 1月:印刷
  比較国際教育学研究室
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