化学科目単元表

化学(後期中等段階)教科書学習単元比較(英語訳)

5-1-2 高校と大学における教育内容の整合性:化学教科書の整合表作成に向けて

 理科分野における日中対照表を作成するに当たり、基礎文献としては、物理学では朝倉出版から『日中英対照物理用語辞典』があり、また、日本留学志望学生用には日本学生支援機構東京日本語教育センターから『進学する人のための 物理用語・公式集』が発行され、日本語学校等で使用されている。これは物理学用語の日本語の読みと公式についての日本語による解説がなされ、日本語での理解のための簡単な補助教材となっている。
一方、化学分野の用語の対照用語辞典としては、十分な検索はできていないが、アルク社より『英和学習基本用語辞典 化学 海外子女・留学生必携』が刊行されているが、これには中国語対照表は付されていない。また、先の日本学生支援機構からは『進学する人のための 化学専門用語集』が同様に刊行されているが日本語での学習のためのものであり、英語での検索ができるものではない。
高校教育段階での中国の化学教育のカリキュラム改革については公益社団法人日本化学会による『化学と教育The Chemical Society of Japan』(例;金京沢53巻3号2005年NII-Electronic Library Service等)で既に紹介されているが、教科書シラバス比較、特定の視点からの化学教育の比較研究は高校段階での教育単元全般を対照表という形で見渡したものは公開されているものでは少ない1)。

1) 渡瀬洋平、島田英明「日本と米国における中学校理科教科書(化学分野)の比較」 『九州地区国立大学教育系・文系研究論文集』 6(1) 2012 
柿原聖治・玄紅嬌「高校段階における中国と日本の化学教科書の比較(1)―環境問題に関する取り扱い―」『岡山大学教育学部研究集録』第132号 2006
柿原聖治・玄紅嬌「高校段階における中国と日本の化学教科書の比較(2)―高分子化合物の扱い―」『岡山大学教育学部研究集録』第132号 2006等

 ここでは、日中の化学教科書の単元の暫定版の対照表を取り上げているが、高校段階の教科書比較において、本節で取り上げた教科書以外の教科書を用いている学校も多数あることは留意する必要がある。また、選択科目、実際には授業等で触れられることがない実験や単元、発展学習項目もあるであろう。この他、中国の場合、中学校で習うべき学習内容にも配慮する必要がある。加えて、北京や上海などの先進地域では教科書が異なり、各地の国際学校では海外学習用の教材が用いられている。例えば、上海教育出版社による『高中国際課程の実践と研究 化学巻』、西安交通大学出版社で新東方(民間留学教育機関)による『新東方SAT考試補助教材 CHEMISTRY SAT II 化学』などがある。こうした多様な教科書、教育方法を踏まえながらも、それぞれの学生の学習背景として、何らかの単元別の学習状況(学習順序、学習内容等の相違等)を入学前後で確認することは重要である。
 以下、表5-1-2で暫定版となる、高校の化学の単元整合表をしめす。暫定整合表は中国語と英語、日本語を理解できる留学生に基本版を作成してもらい、化学科に所属する日本人大学生と筆者で確認作業をしたものである。専門でないため、翻訳等十分で無い場合もあるが、これを基盤により適切で活用可能な整合表に修正していくことを目指している。

 表5-1-2 日中の高校における化学単元の整合表

(出典:東京書籍『化学基礎』、『化学』2014年人民教育出版社『化学』は以下から情報を入手して作成した)
出版 人民教育出版社 http://www.pep.com.cn/
编著 人民教育出版社化学室 http://www.pep.com.cn/gzhx/
必修 普高必修1 http://www.pep.com.cn/gzhx/gzhxjs/0pl/pg/gzhxbx10/gzhxbx10/
必修 普高必修2 http://www.pep.com.cn/gzhx/gzhxjs/0pl/pg/pgbx2/ptgzhxbx2/
必・选(選択)  (必修2加选修) 2003年6月第1次印刷
http://www.pep.com.cn/gzhx/gzhxjs/0pl/pg/pghxbxjxx2/ghbxjxx2/
选修 普高必修加选修3 003年5月第5次印刷  
http://www.pep.com.cn/gzhx/gzhxjs/0pl/pg/pgbxjxx3/gzhxbjx3dzkb/

 表5-1-2は左側の日本語教科書を基準として照合しているため、右側の中国語教科書では、「化学反応」等で化学1と化学2と化学3の中で順序が入れ替わっている。単元知識の教授順とカテゴリーに相違が見られる点が興味深い。また、前節で述べたように、単元を知識としてのみではなく、学生の学力としての単元知識の範囲と深さ、学習知識の汎用可能性そして実験の経験等を確認することが望ましいが、それらは単元目次分析からだけでは把握することはできない。表5-1-2の中国の教科書単元に含められる「実験」項目からもどのような実験が求められているかについては判断できるが、それらに基づく個別学生への学力判断が必要であろう。


マレーシア版(予定)

学習単元

モンゴル版(未定)