高大接続の機関と機能@中間報告


後期中等学校と高等教育の接続機能

5-1-3 海外高校と日豪の大学との接続に関わる学習と諸制度、諸教育機関

 本報告書の冒頭にも記したが、高校教育の多様性、大学教育の実態、そしてその中間に存在する接続教育機関の多種多様性、そして資格認証をする機関の役割と大きく4つの種類の機関が高大の国際的接続にはそれぞれ役割を果たしている。

 

 図5-1はその概略を示しているが、それぞれの機関が、二つ以上の役割を果たしている場合が多いため、この図示ではまだ不十分な理解となっている。具体的には例えば、送り出し側である、高校教育での語学教育や海外の教科教育という予備教育機能を果たす事例、受入側である、大学教育に資格審査と資格付与機能が伴い、加えて英語教育が附属する事例、予備教育と語学教育、予備教育と大学教育の連携が強い事例など多様であり、これらの詳細については事例編を参考にしていただきたい。
こうした事例から明らかなように、中国の高校側、日本やオーストラリアの大学側、そして留学を媒介する留学教育機関はそれぞれの立場で有為な人材の輩出とリクルートを国際市場への参入として取り組んでいる。特に、海外からの学生を受け入れて学生自身が持つ学習内容の凸凹を、自国の大学制度に合うように「均す」役目をしている仲介機関と予備教育機能を持つ語学学校や、大学の外郭機関である予科カレッジやファウンデーション・スタディーズ・プログラムは学生の教育歴と学力審査の機能を持たざるを得ない。その際、海外の高校資格に対して各国の教育情報を提供する機関が大学の受け入れにおいて貴重な情報源となっている。学生受け入れの後、個別の学力状況は更に明確となり、個々の留学目的を踏まえた教育が提供されていくことになる。国別の要求資格と各大学専門学部が要求する科目や語学力などの育成に特化した授業がなされることとなる。

 以上のような、より良い人材獲得を目指す国際教育マーケットの中で高校と大学の直接的な接続には、高校と大学間の連携も必要となってきており、高校の語学教育を高める動き、大学の予備教育としての語学教育、教科教育の充実化も進んでいる。一方で、これまで媒介となっていた留学教育機関がDiploma資格を提供して、大学進学を促進する動きも見受けられる。日本においては、高等学校卒業資格(卒業証書)に加え、実現の可能性は未定だが、センター試験の高度化によるディプロマ化や言語や予備教育課程での専門学校修了資格の認定などができればこうしたものに該当するであろう。

 オーストラリアの場合、画一的な受入体制を広めるのでは無く、統一機構としては多様な資格を「AQF(Australian Qualifications Framework)資格制度枠組」で整備し、そのレベルの統一と横の移動を広げると共に、予備教育課程の制度化を進めることで、様々なバックグラウンドを持つ海外からの生徒の受入体制の充実が図られているといえよう。受入の実際では予備教育プログラムの学生の学力診断は必須であり、そこで不足部分の補充が行われる必要があるが、それはプログラムの選択科目として大学しての授業科目を受講するなかで実施される。こうしたことから、オーストラリアの大学では本プロジェクトの科目別単元の相違に関心が払われることが少なかった。一方、中国の送り出しの高校側は送り出す国に応じた教育を提供することが重要であり、高考とのバランスを考慮しながらの教育課程編成となっている。世界の大学で広く認定されている国際バカロレア(IB)は全くそうした心配はないものの高額な教育費によって一部の上層の子弟のみの教育に限られている。
 こうした状況があるものの、オーストラリアでも日本でも次第に広がりつつあるように、高考の成績を認定する方向は拡大しており、この学力成績に加え、語学能力の向上によって、英語或いは日本語での大学入学資格を認める傾向があることから、中国の一般重点高校でも海外留学の道は広がりつつあると言えよう。その場合、日本側の受入が、日本語学校経由か、大学附設の予備教育課程か、さらには、大学の教養教育課程の改編によって対応できるのか、今後の展開が注目される。


プロジェクト期間 2013年4月~2016年3月
プロジェクト事務室
比較国際教育学研究室
所在地
〒812-8581 福岡市東区箱崎6-19-1
TEL   092-642-3115,6 /FAX  同左
メンバー
博士後期課程   
修士課程 
研究協力者